6:カスカラティー:コーヒーじゃない方のお茶!?今、大注目のワケ【コーヒーマイスター合格note】

コーヒーマイスター合格ノート

I. 序論:なぜ今、カスカラが注目されるのか?(SDGsと新たな価値)

 

私たちが日常的に楽しむコーヒーは、コーヒーチェリーという果実の種子を加工したものである。しかし、種子を取り巻く果皮(ハスク/Husk)や果肉(パルプ/Pulp)は、そのほとんどがこれまで廃棄されてきた。

近年、この通常は廃棄される部分(コーヒーチェリー)を乾燥させて作られる、新しいスーパーフードとして脚光を浴びているのが「カスカラ」。

 

「カスカラ(Cascara)」の語源

 

  • スペイン語で「」を意味する。
  • 通常、コーヒー生豆を生産する過程で大量に排出される果皮・果肉を指す。
  • このカスカラを乾燥させ、お茶のように淹れて飲むものが「カスカラティー(Cascara Tea)」である。

 

注目の背景:SDGsへの貢献

 

  • コーヒー豆の精製過程で排出される果皮や果肉は、世界のコーヒー生産国にとって長年の**環境問題(廃棄物、水質汚染)**であった。
  • カスカラを製品化し、新たな経済的価値を生み出すことは、
    1. 環境負荷の軽減(廃棄物の削減)
    2. 生産者・農園の新たな収入源の確保

    という点で、SDGs(特に目標12「つくる責任 つかう責任」)に貢献するサステナブルな取り組みとして非常に重要である。

  • この「環境にも優しい飲み物」という側面も、現代の消費者意識に合致し、注目度を高めている一因である。

 

II. カスカラティーの基礎知識:風味・栄養・カフェイン

 

 

1. フレーバープロファイル

 

  • 味わいの特徴:
    紅茶や日本茶とは全く異なる、甘酸っぱくフルーティーな香りが特徴。
  • 類似するティー:
    ハイビスカスティーやローズヒップティーに似た風味とされる。
  • テイスティングノートの例:
    • 品種や精製方法にもよるが、干しブドウ、チェリー、ハイビスカス、蜂蜜のようなニュアンスを感じることが多い。
    • 冷やすと酸味が際立ち、より爽快感が増す。

 

2. 驚きの「飲むスーパーフード」としての効能

 

カスカラには、その栄養価の高さから「スーパーフード」としての期待が寄せられている。主な効能として注目されているのは以下の点である。

  • 抗酸化作用:
    ポリフェノールを豊富に含んでいる。
  • 腸内環境のサポート:
    食物繊維を豊富に含んでいる。
  • 自然なエネルギー源:
    わずかながらカフェインを含むが、後に詳述するように穏やかなエネルギー補給源となる。

 

3. カフェイン含有量について(重要!)

 

  • カスカラティーにも、ごくわずかではあるがカフェインは含まれている。
  • しかし、通常のコーヒー豆から抽出されるコーヒーに比べると格段に少ないため、就寝前などカフェインを避けたい時間帯でも比較的安心して楽しむことができる(※ただし、個人の感受性には差があるため注意が必要)。
  • この「低カフェイン」という特性は、コーヒー愛飲家だけでなく、カフェインに敏感な層にもアプローチできる強みとなる。

 

III. カスカラティーの淹れ方と応用レシピ

 

カスカラティーの魅力は、その手軽さにもある。

 

1. 基本の淹れ方(ホット)

 

項目 おすすめの目安 備考
カスカラ量 大さじ1杯(約5g)/カップ お好みで調整
お湯の温度 80〜90℃ 高温すぎると渋みが出やすい
抽出時間 3〜5分 濃さを調整する重要な要素
ポイント 紅茶のようにシンプル。長めに蒸らすとより濃厚な風味が楽しめる。

 

2. おすすめのアレンジレシピ

 

カスカラの甘酸っぱい風味は、様々なドリンクベースとして優秀である。

  • コールドブリュー(水出し):
    • 水に一晩浸けておくことで、雑味のない、すっきりとした爽やかな風味になる。夏場に最適。
  • カスカラフィズ:
    • 濃いめに抽出したカスカラティーを冷やし、炭酸水とレモンを加えてリフレッシュメントドリンクに。
  • カスカララテ:
    • 温かいカスカラティーにミルクとはちみつ(またはメープルシロップ)を加え、まろやかな風味に。

 

IV. 市場動向と購入方法

 

 

1. 供給と規制

 

  • カスカラは、コーヒー豆と異なり、乾燥させた果皮・果肉であるため、長期保存が可能だが、風味を維持するためには適切な管理が重要である。
  • 近年まで、EUなど一部地域では、カスカラの飲用・販売に関して規制があったが、徐々に「Novel Food(新規食品)」として認められつつあり、世界的に市場が拡大傾向にある。
  • 日本においても、一部の意識の高いロースタリーや専門店で取り扱われ始めている。

 

2. 購入先

 

  • まだ一般的なスーパーマーケットでの取り扱いは少ない。
  • 主に以下の場所で入手可能。
    • オーガニック食品を扱う専門店
    • スペシャルティコーヒー豆を専門に扱うロースタリー
    • 輸入食品店やオンラインストア

 

V. 結論:カスカラの持つ可能性

 

カスカラティーは、単なる新しい飲み物ではなく、

  1. ユニークなフルーティーな味わいと低カフェインという魅力
  2. 美容・健康に嬉しいスーパーフードとしての効能
  3. コーヒー産業の廃棄物問題解決に貢献するサステナブルな側面

という三つの価値を兼ね備えた、現代社会のニーズに合った「飲むスーパーフード」である。

コーヒー産業の未来を担う一要素として、今後もその市場動向と多様な利用方法に注目していく必要がある。

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