自宅でビオトープを始める際、
水を張ればつい様々な生き物を入れたくなりますが、
「何を」「どう」入れるか
が環境保全の鍵を握ります。
特に、無計画な放流は
外来種の帰化や在来種との交雑を招き、
地域の生態系を
破壊する深刻なリスクとなります。
このリスクを避けるための最善策は、
「地域の在来種のみ」
を選ぶことです。
周辺の水田や水路で見かける
メダカやヤゴ、トンボの幼虫などを観察し、
それらをビオトープに入れるのが最も安全です。
ただし、この場合も、
ビオトープが大雨や増水で溢れたり、
水抜きなどで外部に繋がったりしないよう、
逃亡防止の工夫が不可欠です。
一方、水草も注意が必要です。
特定外来生物に指定されている種だけでなく、
種子や破片が風や水で運ばれ、
野生化するリスクがあります。
購入した水草は、
屋外の自然環境から隔離し、
増えすぎた場合は
可燃ごみ
として適切に処分しましょう。
賢い生物選定と管理が、
ビオトープの楽しさと自然保護を両立させます。
目次
地域生態系を守る!ビオトープで「地元の生き物」を安全に楽しむ方法
ビオトープの醍醐味は、
地元の自然を身近に感じられることです。
この楽しさを最大限に引き出しつつ、
地域の生態系を守るには、
「周辺環境からの採取」
を徹底するのがおすすめです。
近所の水路や田んぼで自然に暮らしている在来種は、
その地域の気候や水質に適応しており、
ビオトープでも比較的育てやすいのがメリットです。
例えば、ホウネンエビやアカハライモリ、
在来のカワニナなどは、
ビオトープの小さな食物連鎖の一端を担い、
水質浄化にも貢献します。
採取する際は、
大量捕獲を避け、
産卵期などの特定の時期に
負担をかけないよう配慮しましょう。
また、地域の生き物を入れる場合でも、
逃亡や逸出のリスクはゼロではありません。
ビオトープの設置場所は、
周囲と完全に隔離され、
オーバーフロー(溢水)しても
外部の河川や水路に繋がらない構造に
することが重要です。
特にカエルや水生昆虫は移動能力が高いため、
ネットやフェンスで囲うなど、
物理的な侵入・脱出防止策を講じることが、
地域生態系保護への重要なステップとなります。
失敗しないビオトープの作り方:外来種リスクを回避する生物選定の3原則
安易に外来種を導入すると、
その強い繁殖力や捕食能力によって、
地域の在来種が絶滅の危機に瀕することがあります。
失敗しないビオトープを実現するため、
外来種リスクを回避するための
生物選定の3原則を必ず守りましょう。
【原則1:在来種を選ぶ】
観賞魚店で見かける華やかな魚や水草は避け、
周辺の自然に元々生息している
メダカ、ドジョウ、水生昆虫などを選びましょう。
これが地域生態系を守る大前提です。
【原則2:品種改良種は避ける】
ヒメダカやダルマメダカなど、
観賞用に品種改良されたメダカは、
たとえ在来種の系統であっても、
野生の遺伝子プールを乱す可能性があるため、
絶対に野外に放してはいけません。
ビオトープの目的が自然保護なら、
野生由来の純粋な在来種を選びます。
【原則3:完全に隔離・管理する】
特定外来生物はもちろん、
未指定の外来種や改良種を扱う場合は、
脱走防止ネット、
底面からの浸透防止、
増水時の流出対策など、
徹底した隔離措置と適切な管理を施すことが、
ビオトープ管理における必須のルールです。
この3原則で、
美しいビオトープと環境保護を両立させましょう。
メダカ、水草…ビオトープの生き物を安全に管理!「逃亡・逸出防止策」
物理的な対策として、
水槽やプラ舟でビオトープを作る場合、
必ずフタや細かい網を設置し、
カエルやヤゴ、イモリなどの
移動能力の高い生き物の脱走を防ぎます。
特にメダカは驚くと水面から飛び出すことがあるため、水位は縁から余裕を持たせましょう。
次に、水草の逸出防止です。
ホテイアオイやウォーターマッシュルームなどの
繁殖力が強い浮草や抽水植物は、
風や大雨で種子や破片が
飛散・流出するリスクがあります。
これらを避けるため、
株分けや剪定をこまめに行い、
増えすぎた分は絶対に川や水路に捨てず、
乾燥させてから可燃ごみとして処理します。
最も重要なのは、
ビオトープを設置する場所が、
地域の水系と完全に分断されていることです。
これらの安全管理を徹底することで、
ビオトープは健全な自然学習の場となります。


