【芝地管理規約】7:害虫(蟻)問題への対策基準

芝地管理規約

第1条(アリの発生と影響)

 

 

1. アリの発生原因

 

芝生環境下でアリが発生する主な要因は以下の通りである。

  • 適度な土壌環境: アリは、水はけが良く、適度な湿り気があり、巣を作りやすい砂質の土壌を好む。
  • 餌の存在: 芝生上のアブラムシの排泄物(甘露)や、芝生周りに放置された食べ物の残りカスなどが餌となる。
  • 温暖な気候: 気温が高い時期(春から秋)に活動が活発化し、巣を拡大させる。

 

2. 芝地への影響

 

アリの活動が芝生に与える影響は主に以下の点である。

  • 美観の損傷: 地表に排出される土(アリ塚)が芝生の表面を覆い、美観を損ねる。また、この土が芝刈り機の刃を傷める原因となることもある。
  • 芝生の生育阻害: 大きなアリ塚や巣の集団発生により、芝の根が掘り起こされたり、土壌が極端に乾燥したりすることで、芝の生育が部分的に阻害される場合がある。
  • 間接的な被害(アブラムシの媒介): アリはアブラムシを天敵から守り、その排泄物(甘露)を得る習性があるため、アリの発生は同時にアブラムシの発生を助長し、芝の吸汁被害につながる可能性がある。

 

第2条(予防措置)

 

アリの発生を未然に防ぎ、芝生の被害を最小限に抑えるため、以下の予防措置を遵守すること。

  • 土壌環境の整備:
    • 定期的なサッチングエアレーションを実施し、芝生の根張りを強化し、健全な土壌環境を維持する。
    • 芝生上に過度に乾燥した砂地や、逆に常に水が溜まるような場所がないか確認し、土壌改良を行う。
  • 餌となるものの除去:
    • 芝生上やその周辺に、食べ物の残りカス、ペットフードなどを放置しないこと。
    • アリの餌となるアブラムシが発生した場合は、速やかに適切な方法で駆除すること。
  • 環境の点検:
    • 芝生周りのブロックや石の下、構造物の継ぎ目など、アリが巣を作りやすい隠れ場所を定期的に点検し、清掃すること。

 

第3条(発生後の対処)

 

アリの巣を発見した場合や、多数のアリ塚が発生した場合は、以下の手順で対処すること。

 

1. 物理的対処

 

  • アリ塚の除去: アリ塚は、ほうきやデッキブラシなどで芝生に均すか、静かに取り除き、芝生の窒息を防ぐ。除去後は、その部分の芝生の回復を促すため、目土の散布や水やりを行う。
  • 巣の特定: アリの出入りが多い場所を特定し、巣の場所を特定する。

 

2. 薬剤の使用

 

  • ベイト剤(毒餌)の設置:
    • 特定されたアリの通り道や巣の近くに、アリ専用の毒餌(ベイト剤)を設置する。アリに毒餌を巣に持ち帰らせることで、巣ごと駆除する効果が期待できる。
    • 使用の際は、雨で効果が流されないよう、またペットや小さなお子様が触れないよう配慮すること。
  • 粒剤・液剤の散布:
    • アリの被害が広範囲に及ぶ場合や、ベイト剤で効果がない場合は、芝生に使用可能なアリ用の殺虫粒剤や液剤を、巣やその周辺に散布する。
    • 薬剤を使用する際は、製品の取扱説明書を熟読し、用法・用量を厳守し、芝生の種類への適応性を確認すること。

 

第4条(注意事項)

 

  • アリは土壌の通気性を高める役割も担っているが、芝生の美観や生育に明らかに悪影響を及ぼす場合にのみ、積極的な駆除を検討すること。
  • アリを駆除する際、熱湯を巣に注ぐ方法などは、周囲の芝生の根にも深刻なダメージを与える可能性があるため、避けること。
  • アリ駆除に使用する薬剤は、芝生専用のもの、または芝生への使用が認められている農薬・殺虫剤を使用し、他の土壌生物や環境への影響を考慮して、必要最小限の使用に留めること。
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