第1条(アリの発生と影響)
1. アリの発生原因
芝生環境下でアリが発生する主な要因は以下の通りである。
- 適度な土壌環境: アリは、水はけが良く、適度な湿り気があり、巣を作りやすい砂質の土壌を好む。
- 餌の存在: 芝生上のアブラムシの排泄物(甘露)や、芝生周りに放置された食べ物の残りカスなどが餌となる。
- 温暖な気候: 気温が高い時期(春から秋)に活動が活発化し、巣を拡大させる。
2. 芝地への影響
アリの活動が芝生に与える影響は主に以下の点である。
- 美観の損傷: 地表に排出される土(アリ塚)が芝生の表面を覆い、美観を損ねる。また、この土が芝刈り機の刃を傷める原因となることもある。
- 芝生の生育阻害: 大きなアリ塚や巣の集団発生により、芝の根が掘り起こされたり、土壌が極端に乾燥したりすることで、芝の生育が部分的に阻害される場合がある。
- 間接的な被害(アブラムシの媒介): アリはアブラムシを天敵から守り、その排泄物(甘露)を得る習性があるため、アリの発生は同時にアブラムシの発生を助長し、芝の吸汁被害につながる可能性がある。
第2条(予防措置)
アリの発生を未然に防ぎ、芝生の被害を最小限に抑えるため、以下の予防措置を遵守すること。
- 土壌環境の整備:
- 定期的なサッチングやエアレーションを実施し、芝生の根張りを強化し、健全な土壌環境を維持する。
- 芝生上に過度に乾燥した砂地や、逆に常に水が溜まるような場所がないか確認し、土壌改良を行う。
- 餌となるものの除去:
- 芝生上やその周辺に、食べ物の残りカス、ペットフードなどを放置しないこと。
- アリの餌となるアブラムシが発生した場合は、速やかに適切な方法で駆除すること。
- 環境の点検:
- 芝生周りのブロックや石の下、構造物の継ぎ目など、アリが巣を作りやすい隠れ場所を定期的に点検し、清掃すること。
第3条(発生後の対処)
アリの巣を発見した場合や、多数のアリ塚が発生した場合は、以下の手順で対処すること。
1. 物理的対処
- アリ塚の除去: アリ塚は、ほうきやデッキブラシなどで芝生に均すか、静かに取り除き、芝生の窒息を防ぐ。除去後は、その部分の芝生の回復を促すため、目土の散布や水やりを行う。
- 巣の特定: アリの出入りが多い場所を特定し、巣の場所を特定する。
2. 薬剤の使用
- ベイト剤(毒餌)の設置:
- 特定されたアリの通り道や巣の近くに、アリ専用の毒餌(ベイト剤)を設置する。アリに毒餌を巣に持ち帰らせることで、巣ごと駆除する効果が期待できる。
- 使用の際は、雨で効果が流されないよう、またペットや小さなお子様が触れないよう配慮すること。
- 粒剤・液剤の散布:
- アリの被害が広範囲に及ぶ場合や、ベイト剤で効果がない場合は、芝生に使用可能なアリ用の殺虫粒剤や液剤を、巣やその周辺に散布する。
- 薬剤を使用する際は、製品の取扱説明書を熟読し、用法・用量を厳守し、芝生の種類への適応性を確認すること。
第4条(注意事項)
- アリは土壌の通気性を高める役割も担っているが、芝生の美観や生育に明らかに悪影響を及ぼす場合にのみ、積極的な駆除を検討すること。
- アリを駆除する際、熱湯を巣に注ぐ方法などは、周囲の芝生の根にも深刻なダメージを与える可能性があるため、避けること。
- アリ駆除に使用する薬剤は、芝生専用のもの、または芝生への使用が認められている農薬・殺虫剤を使用し、他の土壌生物や環境への影響を考慮して、必要最小限の使用に留めること。


