【芝地管理規約】8:秋の施肥とオーバーシード後の管理

芝地管理規約

第1条(秋の施肥の目的と基本方針)

 

 

1. 目的

 

本規約は、夏越しを終えた芝生の疲労回復と、冬の休眠期に向けた栄養貯蔵を促進し、またオーバーシードを行う場合は冬芝の健やかな発芽・生育を確保することを目的とする。

 

2. 基本方針

 

秋の施肥は、春から夏にかけて使用した窒素(N)成分の多い肥料から切り替え、リン酸(P)カリウム(K) の割合が高い肥料を主体とすること。

 

第2条(秋の施肥手順)

 

以下の手順に基づき、適切な施肥を実施すること。

 

1. 施肥時期の選定

 

  • 夏芝(日本芝・高麗芝など)の場合:
    芝生の生育が緩やかになり始める時期(9月上旬〜10月上旬)を目安に、休眠に入る約1ヶ月前までに実施する。遅すぎる施肥は、凍害を受けやすい軟弱な新芽を出す可能性があるため避けること。
  • オーバーシード(冬芝の種まき)を行う場合:
    • 施肥は種まきと同時、または直前に行うことを原則とする。
    • 冬芝の発根と初期生育を促進するため、特にリン酸成分を多く含む肥料(スターター肥料など)を選定すること。

 

2. 肥料の選定

 

  • 一般の秋肥:
    窒素成分を抑え、リン酸とカリウムが充実した芝生専用の秋肥を使用する。リン酸は根張りを、カリウムは耐寒性を高める効果がある。
  • オーバーシード時のスターター肥料:
    冬芝の種まき時に使用する肥料は、発根促進のため、リン酸の肥効が速やかに現れるものを選択すること。

 

3. 施肥方法と散布量

 

  • 肥料は均一に散布し、ムラによる生育差や局所的な肥料焼けを防ぐこと。
  • 製品に記載された用法・用量を厳守すること。特にオーバーシード直後の高濃度な施肥は、種子の発芽を阻害する可能性があるため、注意すること。
  • 施肥後は、速やかに十分な量の水やり(散水)を行い、肥料成分を土壌に浸透させること。これにより、肥料焼けのリスクを軽減する。

 

第3条(オーバーシード後の特別管理措置)

 

オーバーシード(冬芝を播種した)を行った芝地については、以下の特別措置を講じること。

 

1. 水管理

 

  • 種まき直後から発芽完了までの約2週間は、土壌表面が乾燥しないよう、頻繁に少量ずつ水やりを行うこと。種子が乾燥すると発芽率が著しく低下する。
  • 発芽が確認された後は、徐々に水やりの頻度を減らし、一度に与える量を増やす通常の水やり(第4条準拠)へ移行する。

 

2. 刈り込み

 

  • 冬芝の種まき直後の刈り込みは、種子や幼い新芽を傷つけるため、避けること。
  • 冬芝が十分に生育し、草丈が規定の高さに達した後(通常播種後3〜4週間以降)、規定の高さで慎重に刈り込みを開始する。

 

3. 追肥

 

  • スターター肥料による初期の栄養が不足した場合、冬芝の生育状況に応じて、液体の追肥を行うことを検討する。
  • 追肥の際は、葉焼けを防ぐため、製品の希釈倍率を厳守すること。

 

第4条(注意事項)

 

  • 秋の施肥は、夏芝を冬の休眠期に備えさせるための重要な作業である。窒素肥料を過剰に使用すると、耐寒性の低い軟弱な芝を育ててしまい、冬期の凍害や病害のリスクを高めるため、特に注意すること。
  • オーバーシードの成功には、種まき前のサッチングやエアレーションによる土壌改良(第4条参照)が不可欠である。
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