【薪然人:4】 薪集めに宿る物語を見出す旅

薪然人

 

価値を見出す旅路、そして自分を選ぶ瞬間

 

薪集めは、
単に山に入り、
木を伐るだけではない。

現代における薪集めは、
河川や公園の整備で出た伐採木や、
知人から譲り受ける庭木など、
人が関わった場所から始まることが多い。

この行為は、
本来なら処分されるはずの木材に、
新たな命と価値を見出す旅路だ。

倒木や切り株の群れを前に、
どの木が火持ちが良いか、
適しているかを選ぶ

それは、人生における決断の瞬間と重なる。
無数の選択肢の中から、
本当に価値あるもの、
自分にとって必要なものを見極める
洞察力が試されるのだ。

この薪集めは、
物質的な資源の再利用だけでなく、
自分自身の内なる声に耳を傾け、
人生の岐路で正しい選択をするための、
静かな訓練なのだ。

 


 

痕跡を辿り、恩寵担ぐ

 

伐採現場や剪定跡には、
過去の痕跡が残されている。

切り口に残る年輪や、
木肌の傷跡は、
その木が歩んできた歴史を物語っている。

薪然人は、
これらの痕跡を注意深く観察し、
木の生い立ちや特性を読み解く。

この行為は、
過去の出来事や、
他者との関係性を振り返る内省の時間だ。

そして、そうして集めた薪を背負って担ぐ行為は、
自然や人からの恩寵を、
自らの責任として受け入れる象徴的な行為である。

重い薪を背負うことは、
時に苦労を伴うが、
その重みが、
暖炉で燃える火の温かさに変わることを知っている。

これは、
人生の重荷を、
やがて来る喜びや感謝の源に変える哲学なのだ。


 

【薪然人】 森との対峙収穫のその先に

 

公園や、庭木から薪を集める行為は、
一見すると自然との直接的な
対峙ではないように思える。

しかし、それは都市という
人工的な環境の中に残された、
小さな自然との真摯な向き合い方だ。

木々が放つ清涼な空気、
土の匂い、
そして静けさ。

 

これらは、
私たちを日常の喧騒から解放し、
自然の一部であることを思い出させてくれる。

そして、
持ち帰った薪を積み上げたとき、
それは単なる物資ではなく、
豊かな収穫物となる。

この収穫は、
ただの労働の成果ではない。
自然が私たちに与えてくれた恵みであり、
それを燃料として使うことで、
私たちは再び自然との繋がりを深める

 

薪然人は、
この収穫を通じて、
持続可能な生き方、
そして自然との共生という、
より深い哲学へと向かっていくのだ。

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