肌寒い季節が近づくと恋しくなる、
あのホクホクとした甘さ!
サツマイモは、
家庭菜園でも比較的簡単に育てられ、
収穫の喜びと食欲の秋の楽しみを
同時に満たしてくれる
最高の作物です。
「掘り出すタイミングがわからない…」
大粒のサツマイモを収穫するための秘訣を、
栽培の準備から、
掘り出すサインの見極め方、
収穫後の最高の甘さを引き出す熟成テクニックまで、
解説します。
目次
1. 準備が肝心!サツマイモ栽培の基礎知識
サツマイモ栽培で
大粒の芋を収穫するための鍵は、
「つる返し」
という作業にあります。
サツマイモは生命力が強く、
地面に伸びたつるの節々からも根を出し、
小さな芋(つる根イモ)
をつけてしまいます。
このまま放置すると、
肝心の株元の芋へ栄養が集中せず、
葉やつるばかりが茂る
「つるボケ」
の状態になってしまいます。
つる返しは、
つるが畝の外にまで伸びて
地面に着き始めた
8月上旬〜9月上旬を目安に行いましょう。
伸びたつるを持ち上げて、
土の中に入り込んだ不定根をバリバリと引きはがし、
つるを裏返して畝の上に戻します。
つるを切ってしまうと光合成ができなくなり、
芋の成長が止まるため、
根だけを切るのがポイントです。
この一手間で、
栄養を主役の芋に集中させ、
大きなサツマイモを育てられます。
2. 実りのサインを見逃すな!サツマイモの収穫時期の見極め方
サツマイモの収穫は、
植え付けから数えて
120日〜140日、
品種によっては150日程度が目安です。
しかし、
最終的なタイミングは地上の
「葉」の状態で見極めましょう。
収穫時期が近づくと、
それまで青々と茂っていた
サツマイモの葉や茎が徐々に黄色く変色し、
つやを失い、
枯れ始めるサインを見せます。
これは、
葉で生成された栄養が十分に
塊根(芋)へ蓄えられた証拠です。
このサインが見られたら、
まずは「試し掘り」をしましょう。
株の根元から少し離れた場所を掘り、
芋の大きさを確認します。
まだ小さいようであれば土を戻して
数週間待ち、
十分な大きさになっていれば、
いよいよ本格的な芋掘りのスタートです。
品種によって適期が異なるため、
植え付け日と品種を
記録しておくことが重要になります。
3. 傷つけずに、たくさん収穫!上手な芋掘りのコツとテクニック
せっかく育てた
サツマイモを傷つけずに掘り出すには、
いくつかのコツがあります。
まず、
芋掘り作業を始める前に、
地上のつるを株元から10cm程度残して
ハサミで切り取ります。
このつるを目印に掘り進めるためです。
サツマイモは一般的に、
つるが生えている場所から半径20〜30cm以内
にできているため、
この範囲を大きく掘り起こしていきます。
ポイントは、
芋の真上を掘らないこと。
株元から少し離れた位置(30cmほど)に
スコップを入れ、
周囲から土を崩すように掘り進めることで、
芋を傷つけるリスクを減らせます。
芋の頭が見えてきたら、
スコップの使用を止め、
手で優しく周りの土を取り除きながら
掘り出しましょう。
最後に、
つるの根元を持って
ゆっくりと揺らしながら引き抜くと、
連なっている芋が切れずに
きれいに収穫できます。
4. 収穫後が勝負!サツマイモの「貯蔵」と「熟成」で甘さを引き出す
掘りたてのサツマイモは、
実はまだ本来の甘さが引き出されていません。
ホクホクとした食感は楽しめますが、
甘さを極めるには「追熟(熟成)」が必須です。
サツマイモに含まれるデンプンは、
特定の温度で貯蔵することで
酵素の働きにより糖に変化します。
この追熟に最も適した環境は、
温度13℃〜15℃、湿度85%〜90%
の場所です。
収穫後は土を軽く払い、
洗わずに3日ほど陰干しして
表面の水分を飛ばしてから、
1本ずつ新聞紙に包み、
風通しの良い冷暗所(玄関や床下収納など)
で保存しましょう。
追熟期間の目安は2週間〜1ヶ月程度ですが、
品種や好みに応じて調整してください。
このひと手間をかけることで、
デンプンが麦芽糖に変わり、
ねっとりとした食感と
格段にアップした濃厚な甘さを楽しめます。
収穫したサツマイモは、
ぜひ追熟させてから、
ねっとり甘い焼き芋や、
ホクホクの天ぷらにして味わってくださいね。


